人
間
櫻井あや乃
Ayano Sakurai
2026. 11 / 08(日)- 12 / 06(日)
13:00 - 19:00 火、金、土休廊(祝日除く)
※最終入場 18:45
レセプション:11 / 08(日)17:00 - 20:00

絵具とは?
櫻井さんにとって絵の具とは何ですか?
自分にとっては絵の具=油絵の具で、くさい、ネチネチした感触、気づくと色んなところに付いていることなどが浮かびます。指でキャンバスに直接描いているときは絵の具をこねているようにも感じます。
確かに設営の際にも何だこれ?とか言いながら側面についてる絵の具を見てましたね(笑)今の話からすると、絵の具をかなり物質的に捉えているように感じますが、絵の具がイメージに切り替わるタイミングはありますか?
ウーム、今絵の具がイメージに切り替わったぞ‼︎と意識したことはないのですが、これも気づいたらそうなっている、、ということが多いです。(ボンヤリしているだけかもですが)とにかく手を動かしてイメージを探していくうち徐々に、 あるいはいきなり出現している、、という感じです。
画材によって、出現してくるイメージに違いは感じますか?画材や支持体と、イメージの関係性が気になります!絵の具でやればよかった...って思うこととか、木炭だとついこういうものを描いてしまう!など、あるんでしょうか。
出てくるイメージに違いはあまりないです。たまに写真を参考にして描きたいときがありますが、そういうときは絵の具より木炭を選んでいることが多い気がします。墨を使うことがありますが、絵の具より遥かに思い通りにならないので割といつも後悔してます(笑)
たしかに、アザラシや犬など、写真をもとに描いているのかなと感じるものは、木炭の印象があります。墨の作品も好きですが扱うのが難しいんですね!櫻井さんの持つイメージに結び付きづらい、ということでしょうか...。
墨は思ったよりにじみすぎるとか、描いてるときと乾いたときの色味が違いすぎるのです、、
写真は距離を明示するものですが、櫻井さんの作品では、近くにあるものと、遠くにあるもの、どちらを描こうとしていますか?
わたしの制作は先祖というキーワードが根底にあります。自分を構成する細胞のひとつひとつは先祖がつくっているし、自分の頭の上あたりで見守っててくれとも思うし、山の向こうで先祖が塊になって浮かんでいるところも想像 します。 なのでどっちも、という答えになってしまいます。
さまざまな距離感を想起して描いているのですね。そのように、感じている距離感は絵に反映されているのでしょうか?
近くにあるもの、遠くにあるもの


反映されています!
今の家族も先祖になりうる対象だと思いますが、彼/彼らは櫻井さんの言う距離の中に存在しますか? それとも先祖=遠いけど繋がってい る人間という何かしらの線引きが存在していますか?
線引きはあまりなく、今生きている家族や、将来誰かの先祖となる自分自身も距離の中に含まれています。
そうなんですね...! 自分自身を描くこと/絵の中に登場することはあるのでしょうか?また、その時に自分との距離は感じますか?(山の向こうにいる自分を想像したり)
もともとずっと「絵の中に自分自身を登場させる」ということをしていて、自画像として描いていた人物がだんだん抽象化していく中で家系図を作成したという経緯があります。
先祖について考えながら描くことは同時に自分自身を描くこととつながっています。なのでいつかは自分も同じようにお盆に帰ってくるのだろうか、とか考えます、、
ちなみに家系図を作成することになったのは本当に偶然で、友人たちと展示をすることになり何をテーマにするか相談している中で、家系図面白そうじゃねと提案してくれたおかげです。
絵を描きたいと
思うとき
もともと自分自身から先祖というところへ辿り着いていたんですね。描く対象や描きながら考えることなどのお話がありましたが、どういうときに、絵を描きたいと思うのでしょうか。お話に出たようなお盆などの行事も、描くきっかけに繋がりますか?
お盆はたしかによく題材になっています!が、絵を描くきっかけというよりは出来上がった絵を見て、これはお盆の絵だ、、となることの方が多いかもしれないです。
基本的には何かを描きたいから描くというよりは、とりあえず手を動かして何かをつくりたいという動機の方が多いです。 と言いつつ、この風景は絵に描きたいぞとか、あざらしはかわいいなあとか、食べた後のサンマの頭がなんか良いなあとか、そういうきっかけのときもあります。

先祖の存在や、描きたいもの、手を動かしていくことで現れたものたちを、消してしまうことはありますか?また消えたものたちは、どこを彷徨っていますか?
画面がうまくいっていなければ消してしまうこともあります。でも完全に消え ることはなくてうっすら跡になったり、上から載せた絵の具の下で層として確かに存在していますね、、そういえばうっすら跡になったやつらのことを亡霊だなあと思うときがあります。
亡霊は、絵にとってのご先祖様みたいな印象がありますね。それが画面がうまくいかないときに現れるというのも面白いです。亡霊がいる絵も、いない絵も、どちらもいい作品なんだろうなと感じるのですが、櫻井さんにとっての理想の絵とはどのようなものでしょうか?
迷いがない絵ですかね、、ほぼ常に迷っているので、、
迷いとはどのようなものでしょうか?
描いている過程で自分の判断を疑ってしまうことです。完成したと思っても本当に終わっていいのか、、?
とひたすら迷っています。少し時間をおいて絵を眺めることでようやく判断できてる気がします。
理想の絵
理想の絵と鑑賞者が対峙したとき、どのようなことが起きると思いますか?
これは自分の話でもある、と自然に思えるような、観た人に絵がスッと入り込むといいなと思い ます。

話し手:櫻井あや乃
聞き手:島田明洋、原島春七
(STUDIO BACKPACK)

櫻井 あや乃 Ayano Sakurai
1998 東京生まれ、2023 武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻 卒業
【主な個展】2026「やまびこ」(KATSUYA SUSUKI GALLERY、東京)、 「地に足つける」(Gallery FACE TO FACE、東京)、2024「同じ海から」KATSUYA SUSUKI GALLERY、東京)、2023「山に至るまで」(Gallery美の舎、東京)2023「我々のいるところ」(2022年度武蔵野美術大学卒業制作展、東京)
【主なグループ展】2026「スモールスモール・ハンドパワ〜」(2人展/25時、東京)、2025 「連綿と続く」(2人展/HAGISO、東京)、2025「こっちには手、向こうに絵」(2人展/ JINEN GALLERY、東京、2024「See You Again?」(PTT Space、台北)、2023「15th Anniversary group exhibition」(Gallery FACE TO FACE、東京)、2022 「『kotohajime』」(立川アートランド、東京)、2022「長亭GALLERY展 2022」(長亭GALLERY、東京)、2021「家系図を作成する」(武蔵野美術大学 FAL、東京)、2019「サーモ #2」(YERROW HOUSE 日本橋、東京)、2018 「サーモ」(東京造形大学 mime、東京) 【受賞歴】2025「明日をひらく絵画 第43回 上野の森美術館大賞展」入選(上野の森美術館、東京)、2025「第5回公募アートハウスおやべ現代造形展」優秀賞(アートハウスおやべ、富山)、2023「神奈川県美術展」入選(神奈川県民ホールギャラリー、神奈川)、2023「Idemitsu Art Award 2023」入選(国立新美術館、東京)、2022「IAG AWARDS 2022」IAG大賞(東京芸術劇場、東京)、2022「Gallery美の舎 学生選抜展2022」優秀賞(Gallery美の舎、東京)、2022「Idemitsu Art Award 2022」入選(国立新美術館、東京)
